コーチングやカウンセリングで重要なのは傾聴力だといわれています。
あなたの心に🔥を付ける勇気づけの専門家 ウミザル式メンタルトレーナーのメタルです。
35年間務めていた海上保安庁警備救難部には、海猿に代表される海難救助機関としての側面と海の警察官としての側面があります。
わたしはよく陸上の警察と消防を足したような仕事と表現します。
そんな、海の警察官として仕事をしているとき「取調べ」という仕事がありました。
専門用語でいうと、供述調書の作成です。
先日、結局は同じことをしているんだなって、気がつきました。
傾聴
傾聴は読んで字の如く「聴く事に耳を傾ける」ことです。
コミュニケーションで大切なのは、伝える力ではなく、実は聴く力なのです。
実は、会話では話すことよりも聴く事の方が難しい。
通常の会話でよくあるのは、相手の話を奪って自分の話を始めてしまうこと。
人間は、放っておくと自分の話しかしません。
自分の話を聴いて欲しいという欲求があるからです。
そんな欲求を満たしてあげるのが、ある意味傾聴なのかもしれませんね。
相手の言葉を理解して、同じイメージを共有し、相手の気持ちや感情を受け入れる。
そのことによって、相手(クライアント)の新たな発見を手伝ったり、心を癒やすことができます。
Points of You®のカードを使ったセッションでは、カードを観ながら話を聴いてあげるだけで、ホント不思議なくらい勝手にクライアントがさまざまな発見をしたり、気づいたりします。
取調べ
新聞・テレビなどの報道では、犯人とか容疑者という言葉が使われますが、法律用語では警察官が行う取調べの段階では被疑者(ひぎしゃ)と呼ばれます。
海上保安庁警備救難部の職員の多くは海上保安官として任命され、特別司法警察職員です。
一般の警察官とは違って、法律や環境、地域によって限定された刑事訴訟法に基づく犯罪捜査権を与えられている警察官をこう呼びます。
お馴染みのところでは、厚生省の麻薬取締官が有名ですね。
詳しくは、ウィキペディアで。
んで、当然被疑者の取調べも行います。
多かったのはプレジャーボートなどの法律違反。
平たくいうと船(水上オートバイ含む)の無免許運転や救命設備(浮き輪やライフジャケットの搭載)不備などです。
人は、悪いことすると隠そうとするので、被疑者の話を聴いて文章にしただけでは犯罪になりません。
ですから、犯罪になるように、犯罪構成要件を満たす供述調書を作成していきます。
※詳しくは、下記「犯罪構成要件」を参照
しかも、何も知らない第三者でも状況が解るような文章を作成しなければなりません。
最後には、もう一度読んで署名とハンコをもらうので、被疑者に納得してもらうことも必要です。
犯罪構成要件
※この項は、少々難しくなるので読み飛ばしてOKです。
当然法律の条文によって犯罪が成立する要素(構成要件)は異なります。
逆にいうと、法令違反を証明するためには一定の要素が必要なのです。
例えば、殺人罪を証明しようとすると、
- 人が死んだという結果
- 殺す意思(殺意)
が必要。
どちらかが欠けても成立しません。
例えば、「人が刃物で刺される」という事件が発生した場合、
人が死ななければ殺人罪は適用できず傷害罪などに当たります。
また、殺す意思が無ければ、過失致死などになります。
殺人を争う裁判で、論点になるのは多くの場合殺す意思があったか?になります。
また、遺体無き殺人の立証が難しいのは死んだという結果が必要だからです。
傾聴と取調べの共通点
どちらも聴く相手とイメージを共有しなければできない。
そして、解らないところは、質問して明らかにしていく。
文章にするかどうかの違いはありますが、やっていることは同じだと気がつきました。
そして、話をして貰うには相手のと信頼関係も必要。
ベテランの捜査員は、自分の生い立ちなどを話して相手との信頼関係を築く場合もあるそうです。
わたしが、ワークショップなどの自己紹介で、孫の写真を使うのもそういう意図があります。
そして、取調べの際は、前述のとおり被疑者が本当のことを話すとは限らないので、目の動きや仕草などにも注意します。
そして、「どうしてそういう表現をするんだろう?」「本当は何を伝えたいんだろう」と言葉の底にある心の声を推察しながら話を聴いていきます。
手前味噌ですが、そんな経験が、セッションやワークショップでの質問が的確とかリラックスして話ができたなどの評価に繋がっているのかもしれません。
そして、ブログやワークショップでの説明が解りやすいと言っていただけるのも、供述調書を作成する為に何も知らない相手へ伝えることを意識し続けてきたからかもしれませんね。
まとめ
この取調べは、わたし自身好きな仕事じゃありませんでした。
決められた時間内で文章を作成したり、犯罪構成要件を満たさなければならないというプレッシャーも大きいですが、それ以上に相手に対して「悪いことをした」ということを認めさせなければならないからです。
供述調書にはハッキリと「申し訳ありませんでした」という謝罪の言葉も入れますし、「反省しています」などの文章も盛り込みます。
最後には、ハンコも付いてもらいます。
いつも心の底では自分にそんな資格があるのか?と自問自答していました。
結構辛かったですね。
でも、そんな経験が、この仕事に活きるとは世の中不思議なモノですね。
今では、セッションやワークショップで話を聴くのが大好きになりました。
Written by あなたの心に🔥を付ける勇気づけの専門家 ウミザル式メンタルトレーナー メタル
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