昔、私を入れて乗組員5人の巡視艇船長をしていた時のこと。
業務を終えて基地(港)へ帰る途中、大時化(しけ)に遭いました。
波の高さは5メートル近くあり、長さ20メートルの巡視艇は木の葉のようです。
船というのは、波を乗り越えることができるように、前から来る波には強くできています。
まっすぐ波に向かって進んでいるときは、まだ大丈夫。
といっても、5メートルの波を乗り越えるのは、例えばジェットコースターに乗って5メートルの高さまで持ち上げられ、次の瞬間には落ちるようなものなので、生きた心地はしませんけどね。
目的地へ行くにはいつまでも波が来る方、つまり沖に向かってドンドン走って行くわけにはいきません。
いつかは変針(転舵)方向を変えなければ、港へ帰ることができないんです。
その際が、最も危険。
波を横から受けることになります。
前方からの波には強い船は、横波には弱い。
波に巻かれると、転覆します。
ですから、真横から波を受けるときには、波に巻かれないタイミングで一気に方向を変えると同時にスピードを上げて乗り切る必要があるんです。
つまり、一時的にサーフィン状態になって波を乗り越えるわけです。

そのタイミングを計り、指示を出すのは船長である私の役目。
こんな大時化の外洋で転覆すれば、まず助かりません。
自分の命はもちろん、乗組員4人の命が私の指示にかかっています。
そういうときは、もう雑念なんて入る余地は無いんです。
自分の感覚だけを信じて舵を切る。
そして、無事に乗り切って基地へ帰ったとき、始めて「生きている」という充実感が味わえます。
今ここを真剣に生きる
何が言いたいかというと、そういう究極の危機を乗り越える時は自分を信じて「今やれることをやる」だけなんですよね。
転覆するんじゃないだろうか?無事に帰ることができるんだろうか?
などと考えたって、答えは出ません。
今ここを真剣に生きるだけなんです。
生きているといろんな大変なことがあります。
不安なこともあります。
そんな時は、あれこれ悩まずに自分のできることを真剣にやるしか、危険な状況から脱出する方法はありません。
その先どうなるか?なんて誰にもわからないし、考えるだけ時間の無駄です。
今できることを淡々とやり続ける
まとめ
私も、不安なこと怖いこともいっぱいありますけど、自分を信じて「今ここでできることに集中する」と心が楽になります。
ぜひぜひ、自分を信じて、頑張っている自分を応援してあげてください。
そうすれば、必ず港へたどり着けます。
Written by メタル(@Metal_mac)
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