うつ(鬱)ってどういう状態でしょうか。
【勇気づけの専門家】元海上保安官うつ専門メンタルコーチのメタルです。
うつって最近はポピュラー?な病気として認められてきたようです。
でも、旧態依然として、いろんな噂や間違った印象を持たれているように思います。
今回は、うつ専門メンタルコーチの立場から、解説していきますね。
うつ病ってなに?
まず最初に”うつ病”の定義をハッキリさせておきましょう。
アメリカ精神医学界心療基準(DSM-Ⅴ)によって判定されるようです。
ザックリいうと「抑うつ状態が2週間以上続いている」状態がうつとされています。
※抑うつ状態:憂鬱(ゆううつ)で落ち込んでいる、気分が晴れない状態
そして、お医者さんの「あんたうつだわ」という診断がおりるとうつ病になります。
つまり、抑うつ状態が続くプラスお医者さんの「あんたうつだわ」という診断が下りないとうつ病とはならないんです。
ここが、身体的な病気と違うところ。
例えば、胃潰瘍ならその病巣を診れば、どのお医者さんへ行っても胃潰瘍と判定されるでしょう。
肺がんだとは、診断されないはずです。
でも、極端な話し、抑うつ状態が続いていると訴えても、お医者さんが「あんたの気のせい」といえばうつ病とはなりません。
とにかく、抑うつ状態からうつ病、つまり病(やまい)になるにはお医者さんの「あんたうつだわ」という診断が必要だということは覚えていおいてください。
そして、その判断基準となる症状は、憂鬱な状態の他に
- 著しい体重の増減がある、食欲不振・過食
- 毎日不眠または寝過ぎてしまう
- 毎日疲れやすい、無気力
- 集中力の低下
- 根拠無く自分を責める、存在意義を感じられない
などがあります。
わたしは、ある朝、出勤しようとしてスーツに着替えて玄関のドアを開けようとしたけど、開けることができずにそのまま布団の上に倒れ込みました。
そんな身体の行動、身体的な不調が現れた場合は、うつ病を疑った方がいいでしょう。
うつは治らない?
うつは治らないと信じている人がいるようです。
どうしてそういう印象を与えてしまうのかというと、1つはお医者さんが「完治」という言葉を使わず「寛解Weblio辞書」としか言わないからでしょう。
どうして「完治」という言葉を使わないかというと、前述のとおり身体的な病気と違って病巣が見えないからだと思います。
怪我の場合でも、骨折なら折れている部分がなくなれば完治なんですけどね。
それに厚生労働省の発表によると、うつの再発率は約60%、2回うつ病にかかった人では70%、3回かかった人では90%と再発率が高いことも理由の1つでしょう。
いったん改善しても約60%が再発しますし、2回うつ病にかかった人では70%、3回かかった人では90%と再発率は高くなります。
via: コラム・活動事例・資料 編
じゃあ、治らないのか?というと、そうじゃないとわたしは思うんです。
師匠のうつ専門コーチ川本義巳氏も、今は元気に講座を開いているし、わたしももう、うつになることは無いでしょう。
うつは治るとわたしは確信しています。
うつは脳の病気?
うつはセロトニンの欠乏によるもの
これも良く耳にします。
セロトニン、ノルアドレナリン、ドパーミンなど脳内物質の欠乏だという説。
あながち間違えじゃないと思いますが、これだけじゃ説明が付かないことも多々あるようです。
セロトニンの投与で改善する人もいれば、そうじゃない人もいる。
そんな現状をみると、「脳の病気」とまでは言えないでしょう。
うつになる理由
心が弱い人がなるんでしょうか?
心が弱い、強いってどうすればわかるんでしょう?
どんな人が心が弱い人、どこからが心が強い人なんでしょう。
その基準が明確じゃないので、「うつになるのは心が弱いからだ」いう言葉自体がちょっとおかしいですよね。
原因については諸説ありますが、わたしが勉強してきた中では、こんな説があります。
社会性の問題
新しい環境、例えば転勤で配置換えがあって関東出身の人が関西へ異動になり、そこの文化にうまく適合できない。
進学などで、環境が変わったけど勉強に付いていけない。
出産などで、丸っきり生活環境が変わってしまった。
よくいわれる産後うつの状態ですね。
このように一見おめでたいことでも、うつにかかわる人達がいます。
コロナや死別・喪失体験など、マイナス要因だけでうつになるわけでもないんです。
40年間うつ病を研究しているマイケル・ヤプコ博士は、社会性の問題。
つまり、所属する社会(会社・組織・家族)などと適合できない場合に、うつを発症すると仰っています。
所属感の欠如
前述のように自分が属する社会とうまく適合できない場合は、所属感を無くしてしまいます。
例えば、仕事が忙しくて終わらない。
難易度の高いトラブルが発生したけど解決できない。
子育てが思うように行かないなど。
自分はここに居て良いんだろうか?、役に立っているんだろうかと自分の存在意義自体に疑問を持ってしまう。
そして、役に立てない自分、ここは自分の居場所ではないのでは?などと考えてしまって悩む。
そして、自分を責めてしまいます。
そのように、所属感を無くしてしまい孤独を感じてしまう。
有名な心理学者・カウンセラーミルトン・エリクソンのお嬢さん。
ロクサーナ・エリクソン女史は、
「うつの人は所属感を失っている。だからわたし達セラピストが、所属を取り戻してあげるのよ」
と仰っています。
「ただし、健康的なやりかたで」
健康的じゃないやり方とは、反社会的勢力などの団体へ所属する、一緒に犯罪を犯すなどですね。
成功パターンが通用しない
わたしの師匠、うつ専門メンタルコーチ川本義巳氏は約10年間うつ病の人を含めてサポートしています。
その経験から、「その人が持っている成功パターンが通用しない」場合にうつになる、また「認知(捉え方)のゆがみ」が発生していると仰っています。
認知とは心理学用語で物事をどう捉えるか?です。
よく言われるのは、コップに半分入っている状態を「コップに半分しか水が入っていない」と捉えるか「コップにまだ半分水が入っている」と捉えるか。
それが、「認知」です。
話しを元に戻しますと…
それまで長年営業で頑張ってきた人が、総務課へ配置換えになったとします。
それまで、仕事の内容も違えば、その仕事で成績をあげるやり方も違う。
そういう時に前述のように適合できない状態になったり、所属感を無くしてしまいます。
わたしも、約7年間潜水士をやっていて、その後巡視艇へ配置換えになりました。
潜水士時代は、警備業務(取締りなどの警察業務)もやりましたが、救難業務(レスキュー)が仕事のほとんど。
しかし、巡視艇では救難業務はほとんど無くて、警備業務ばっかりでした。
あの時は、自分の持っているスキルや知識を全く使うことができず、今まで無駄なことをやって来たんじゃないかと悩みましたね。
うつになることはありませんでしたが、本気で転職を考えました。
今、振りかえると全く無駄な訳じゃなくて、同じ海上保安庁の業務の別の部分が主になっただけなんですよ。
しかし、あの時はそれこそ所属感を無くしていたように思います。
このように、成功パターンが通用しなくなる、物事の捉え方「認知のゆがみ」が発生するとうつになってしまう場合があります。
うつにコーチングが有効な理由
このように、成功パターンが通用しなくなる。
所属感を無くすような認知のゆがみが発生する場合にうつを発症するとすれば。
コーチングによって、成功パターンを増やしてやる。
コーチングによって、認知のゆがみを修正する。
そんなアプローチで、改善していくんじゃないでしょうか?
うつといえば、カウンセリングだという認識の方もいるでしょうが、カウンセリングだけでは回復までに時間を要することもあります。
また、どうしても原因に向き合う必要があり、何度もうつになった理由を考えてしまって苦しくなる。
そんなこともあるようです。
コーチングによって、成功パターンを増やしたり、認知のゆがみを修正することにより、短期間で回復できる。
コーチングは、基本どうなりたいか?という目的・未来へ目を向けるので、辛い過去を思い出さなくて済む。
どちらが良い悪いじゃなく、アプローチの違いだとわたしは思います。
まとめ
どうして、うつを発症してしまうのか?
ご理解いただけたでしょうか。
最後に、うつを経験した者としてのお願いです。
あなたの職場や家族周りにうつの人がいた場合。
どうか、特別な目で見ずに、側に居てあげてください。
また可哀想な人などと思わず、助けてあげようとアドバイス・助言をせずに見守ってあげてください。
そして、この人は大丈夫だと同じ人間として、その人を信じてあげてください。
その方にとって長い人生の中で、今は生きるのが ちょっと苦しい時期。
ただそれだけなのだと思います。
幸福へようそろう!でお願いします。
※ようそろう:武士言葉「よう御座候(ござそうろう)」が転じた海事用語・操舵号令。船首を向ける。または向けたの意味。
詳しくは、ようそろ – Wikipedia
Written by うつ専門メンタルコーチメタル
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