部下や社員を指導する時「あそこが悪い」、「ここを直せ」などと原因論ばかりで関わってしまうと、悪いところばかりが目について正当な評価ができないばかりか、その部下・社員はやる気をなくして、ますます仕事ができなくなってしまいます。
こんな時は、アドラー心理学の目的論でかかわると本人もやる気を出して仕事ができるようになります。
実は、知らず知らずのうちに職場全員で仕事ができない部下・社員を養成している可能性があるのです。
表象系の違い
人は、それぞれ優位な表象系というのがあります。
NLP(神経言語プログラミング)でも教えるのですが、大きく分けて3つ。
- 視覚系
- 聴覚系
- 感覚系
情報を受け取りやすいソースが人によって違うんですよね。
- ある人は目で見た画像・映像情報(視覚系)が受け取りやすい。
- ある人は耳で聞いたり文字の情報(聴覚系)の方が理解しやすい。
- ある人は触ったり、感じたり(感覚系)した方がしっくりくる。
どれか1つだけということではなくて、3つとも使うのですが、人によってそのパーセンテージが違うんです。
もちろん、3つを平均的に使う人もいるようです。
アウトプットするときも、
- 視覚系の人は、映像を頭の中に浮かべて映画を観るように想像してそれを解説する。
- 聴覚系の人は、一つ一つ情報を収集して順番を追って積み上げていって結論を出す。
- 感覚系の人は、何度も繰り返し身体の中で反芻していると突然結論が出てきて、人に説明するのが下手。
という違いがあります。
どれが良い悪いじゃなくてそういう特徴があると覚えておいてください。
なので、マニュアルを理解させるときも、画像や映像が多い方が理解が早いタイプ、文字情報が多く一つ一つ丁寧に順を追って読んでいくタイプ、マニュアルを読んだだけではダメでとにかくやってみないと理解できないタイプと様々なのです。
自分のタイプを知りたければ、何かの取扱説明書を読んだ時を思い出すといいでしょう。
- 図やグラフを見ながらちょこちょこつまみ食い式に読むタイプ(視覚系)
- 1ページ目から丁寧に読まないと理解できないタイプ(聴覚系)
- 最初からマニュアルは読まずに製品をいじりながら読むタイプ(感覚系)
あなたはどのタイプですか?
もちろん、能力の差はありますが、この表象系の違いなどによって、部下や社員の方が方法を理解できていない場合があります。
特に聴覚系のパーセンテージが多い人は、細かく最初から積み上げていかないとならないので、初歩的な説明を省かれたりすると十分に理解できない可能性があります。
なので、周りからは理解が遅いと評価されたり、メモを取るときも1から10まで細かく書かないと頭に入らないので、その他の表象系が優位な人から見ると「要点をまとめろ」と言われたりします。
そんな、人によって優位な表象系が違うというのは、覚えておいてください。
リソースフルとアンリソースフル
やる気満々で意欲的な状態をリソースフルな状態。
逆にやる気や意欲が失せている状態をアンリソースフルな状態といいます。
リソースフルだと、自分から行動して頑張っていこうと思えるのですが、これが前述の表象系などの違いなどで上司からミスを指摘されたり、他人と比較されてどうしてできないんだなどと責められると、どんどんアンリソースフルな状態になっていきます。
アドラー心理学でいう勇気を挫かれた状態になるのです。
失敗談
わたしも若い頃にそんな経験があるのでお話しします。
わたしなりに一生懸命やった仕事で、ふとした行き違いから上司から責め立てられて、アンリソースフルな状態になってしまったんです。
上司はそんなに問い詰めたつもりはないのでしょうが、わたしはショックを受けて、しばらくその上司とまともに話すことができませんでした。
そして、また責められるんじゃないかと、自分からはチャレンジできなくなってしまったんですよ。
そうすると、今度は「積極性がない」と責められる。
頑張ってチャレンジしようとするけど、「ビクビク」しながらやるので上手く行かない。
また責められるの悪循環。
ますますやる気をなくして、最後は指示されない限り自分では動けなくなりました。
ダメ社員・部下のできあがりです。
できない所ばかりに目が行くと、その部分がドンドン増えていくので周りの人々がみんなで「ダメだ」「なぜできないの?」と責め立てれば責めるほどダメ社員を育成することになるのです。
これが原因論で関わった時。
確かに機械が壊れたときは、部品を交換するように悪いところを治せば問題は解決しますが、人間はそうはいきません。
みんなで、どんな関わり方をすれば良くなるのでしょうか?
できる社員・部下にする方法
このアンリソースフルな状態をリソースフルな状態にするには、「できていないところの例外」を探すのです。
10点満点で1点でも評価できる部分があれば、そこを認めてあげる。
認めてあげた上で、他の部分も同じように頑張って欲しいと勇気づけするのです。
人間は、認めてもらえて始めてリソースフル、やる気が出てくるので少しでも評価できる部分があったら、それを認めて、できれば感謝してあげてください。
時間はかかるでしょうが、悪化することは無くなると思います。
職場のみんなで、その人にどうなって欲しいか、どんな職場が望ましいかを話し合ってみましょう。
そして、その「望ましい職場から現在を見てどんな事が今できるか?」を考えてみませんか?
これが目的論での関わり方です。
まとめ
TVなどで盛んに報道されているようにとかく責任追及など、原因論で関わるのが当たり前の世の中。
確かに原因を追及するのは大切でしょうが、問題に原因論で関わってもあまり幸せになる人はいません。
わたしの前の職場でも、そういう部下がいたのでフォローする周りの人々の大変さはよく解ります。
だからこそ、自分たちの負担(ストレス)を減らすためにも目的論で関わって、少しでも心地よい環境を自分たちで作ってはいかがでしょうか?
Written by メタル(@Metal_mac)
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